T.H.E.N.

 丸加プロジェクトとは、本来は、間逆な活動でもあるのだが、どうもここでページを作って、一旦総括しておかないと、私自身が次へと進めない感じなので、まとめておきます。

 

 私はアドリブソロが苦手である。いわゆるコード進行が決まっていて、それを何まわしか、アドリブで埋めるという作業は、どうしても完成度に満足出来ないし、頭と気持ちと体が対立し合って上手くいかない。
 なので、楽しくないし、どちらかといえば苦痛である。

 それゆえ、丸加プロジェクトでは、私のソロはすべて作曲してある。
 しかし、そのソロの作曲の過程では、実はアドリブを幾度となく繰り返す事でフレーズを絞り込むという事をしている。ということは、実はアドリブが好きなのかもしれない。

 私が本当に弾きたいのは、頭と体と楽器が一体となって、自分の内から出てくるものを自由に音にしてく・・・思いのまま、からだが欲するまま、脳と楽器が直結して音を奏でられたら、どんなに良いだろう・・・”自由に弾けたら・・”そんなイメージは昔からある。

 

 しかし、自由である事と、無秩序である事は同義ではない。

 

 秩序ある自由は可能であり、自由である事から秩序を生み出す事も可能だと思っている。

 

 そんな前提がある中で、ピアノの Hassy と偶然二人で遊び始めたのが、今回の T.H.E.N. の出発点であった。

 彼が私に家に遊びに来て、何の打ち合わせもせず、ただ二人で楽器を弾いて遊ぶ。キーもテーマも何も無く、思いつくままに音を出し、相手の音に合わせたり、外したり・・・。人様に聞かせるものではなかったけど、本当に遊んでいただけで、でも、やっている二人は、けっこう楽しかったし、新鮮な感覚だった。

 で、ある日 Hassy とまた二人で遊んでいる時に、ここにサックス Etsuro さんを加えてみたらどうなんだろう?と、思いついてしまいました。

 私も Hassy も音楽理論などはちゃんと身に付けた事は無く、ただただ感覚だけで音を出しているけど、百戦錬磨でジャズをやっている Etsuro さん、しかも Etsuro さんがジャズだけではなく、音楽的にとても広い幅を持った方だと言う事もわかっていたし、彼が加わったらどういう風に絡んでくるんだろう?そして私たちはどう変わるんだろう?興味津々・・・・!

 Takashima さんとの出会いもまた、Hassy からでした。こちらは海外の音大出のクラシック畑の方だけど、彼女もロックからクラブ系まで幅広い見識を持っち、音大も作曲科に入った方。

 妄想は広がりました。

 

 

 そして、4人でのセッション。Takashima さんはとりあえず、演奏ではなく、ディレクション、指揮者としての立ち位置でお願いいたしました。

 セッション前には、メンバーに私が書いたつたない企画書をお渡しました。こちらからPDFが見れます

 文字ではなかなか伝わらないものですが、とりあえず、どんな事をやるのかのだいたいをわかってもらうためのもので、事前にある程度 Hassy と二人で試してみたりもしました。

 

 とにかく自由に弾く事、キーもテーマもコード進行も拍子もスケールも、すべて自由な状態。でも、単なるノイズにはならないように、各自の技量でぎりぎり音楽の中にとどまる。結果どうなるかは、やってみてから・・・・。

 そんな、3時間にわたる、実験的セッションの全容が、以下の映像です。

 さて、終わっての第一の感想は、4人みんなが楽しい時間を共有出来たようだったので、とりあえずは大成功。

 そして私的には、こんなに楽しく自由にギターを弾きまくれて、とても幸せでした。演奏中には何度も、頭も体も空っぽになって勝手に音が自分から出て行く感覚も味わえました。そういう部分はあまり記憶に残っていなくて、あとでビデオを見て、「あ〜、ここは完全にイってるな」と、確認出来ました。
 逆に頭が先行して上手く弾けなかったところも、けっこうありますけどね。

 全体の音としては、以外と音楽の範疇に収まっちゃったな、という印象。もっとフリージャズ的な、ノイズに近いものになるのかも、という予想は外れました。Hassy と二人の時の方が、もっと音楽にならない感じでした。
 これは、ディレクター役の Takashima さんがいてくれたおかげでもあると思います。また、人数が3人以上になると、やはりそこには一つの社会が出来上がり、他人の感情を受け入れた上での自分の個を生かすよう努力してしまう、という、社会的な生き物である人間の本能が働くから、とも思えます。

 人が増えると、やはりそこには秩序が生まれる。秩序を必要とする。

 という事なのかもしれません。

 

 

 では、次はどうするか?まだ具体的な事はまったく決まっていませんが、年に1回くらいは、こんなセッションをやっていくのは楽しいだろう、と予想は出来ます。

 音程のある楽器は、今の3種くらいが良いところだろうから、次は打楽器系のミュージシャンを一人加えてみるのも良いかもしれない・・・、とも思います。

 ただ、私としては、アドリブの世界は一旦小休止し、今度はがっちり譜面通り弾かなきゃならない様なものにも挑戦してみたい、なんていう妄想も広がったりしてますが・・・・。

 とりあえず、このページを作る事で一区切り付け、次の山を登りに行きます。

かとうなおひこ

2014.0218